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 東北大学大学院医学系研究科・生物化学分野

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研究・教育の目標と活動

ヒトの体を構成する様々な細胞は、全て同一のゲノムを有します。しかし、遺伝子の発現がそれぞれ異なることで、各細胞種がそれぞれ特有の機能を発揮します。私たちは、約2万ヶ存在すると想定されるタンパク質をコードする遺伝子の発現がどのように統合的に調節されているのか、その仕組みによりいかに細胞の分化や応答が調節されているのか、という問題の解明に取り組んでいます。

制御因子としてはDNAに結合し遺伝子の発現を制御する転写因子、転写因子とともに遺伝子の発現を制御するクロマチンタンパク質やその翻訳後修飾、RNA修飾などを取り上げています。主に、造血幹細胞分化、赤血球分化、リンパ球発生・応答、そして遺伝子発現異常としての癌化を対象として研究を進めています。研究技術としては、生化学分子生物学の様々な技術を基本に、質量分析や次世代シークエンサー、バイオインフォマティクスなどを組み合わせています。

遺伝子制御ネットワーク(Gene Regulatory Network, GRN)に基づいて細胞分化・応答とその異常である癌や変性疾患、貧血などの病態を解明し、治療戦略へと展開します。さらに、このような活動を通して次代の医療・医学に貢献する若手を育成しています。

TRANSCRIPTION FACTORS

転写因子は遺伝子の制御配列(エンハンサー)に結合し、近傍遺伝子の発現を調節します。私たちは主にBACH1とBACH2という二つの転写因子に着目し、そのGRNとヘム代謝の関係から生理機能を解明しようとしています。

EPIGENETIC REGULATION

ヒストンやDNA、そしてRNAのメチル化はS-adenosylmethionine (SAM)をメチル基供与体とします。私たちはSAM合成酵素の核内機能を中心に、代謝とエピゲノム・エピトランスクリプトームの連携を解明します。

HAEMATOPOIESIS

BACHが形成するGRNとSAM代謝がどのように造血幹細胞分化を制御するのか、そしてその異常と貧血や白血病の関係を解明し、治療などの新戦略へと橋渡しを進めます。Inner Myeloidモデルを提唱しています。

IMMUNE RESPONSE

Bリンパ球と抗体産生細胞(形質細胞)の発生・分化を中心に、免疫系におけるBACHやIRF4が形成するGRN、そしてSAM合成酵素の機能を解明します。そして、自己免疫疾患や骨髄腫などの治療戦略へと展開します。

CANCER BIOLOGY

癌では、遺伝子変異により幹・前駆細胞の分化障害が生じ、さらに、エピジェネティクな異常により転移能を獲得します。転写因子GRNとSAM代謝に注目し、浸潤・転移の分子機構を解明し、診断等につなげます。

MASS SPECTROMETRY

転写因子など制御に関わるタンパク質は、互いに結合して複合体を形成することでシグナルを伝達します。このタンパク質ネットワークと翻訳後制御を解明するため、質量分析装置を活用しています。

BIOINFORMATICS

質量分析や次世代シークエンサーなどで得られる大規模データを様々なパッケージやオリジナルスクリプトを用いて解析しています。研究の効率化と仮説構築につなげます。

COLLABORATORS

造血系・免疫系に関する研究は本学の免疫・血液学分野(張替秀郎教授)との共同で進めています。癌については外科学分野(海野倫明教授)との共同で進めています。さらに学内外、海外とも共同しています。

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