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研究活動

研究

Bach1は、ヘムをリガンドとする点でも興味深い転写因子です。このシステムをモデルとして、ヘムが遺伝情報発現を制御する分子機構とその生理的意義を解明したいと考えています。

ヘムとBach1

ヘム

ヘムは、生命にとって必須の補欠分子族です。特に赤芽球や肝臓で大量に合成されますが、体中、ほぼ全ての細胞で絶えず合成され、酸素代謝や電子伝達を担います。

このヘムが、遺伝子発現のシグナル分子としても機能することを、私たちは提唱してきました。

Bach1

Bach2がBリンパ球特異的に発現するのに対して、Bach1は様々な細胞・組織で発現します。

Bach1組み換え蛋白質の調製時にBach1が色素と結合することに気づき、これがきっかけとなってBach1がヘム結合活性を有すること、Bach1のDNA結合活性や細胞内分布はヘムにより直接的に制御されていることを証明しました(Ogawa K. et al., EMBO J. 2001; Sun, J. et al., EMBO J. 2002)。さらに、Bach1はグロビン遺伝子とヘム分解酵素ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)遺伝子といった,ヘムと密接に関連する遺伝子の抑制因子であることも証明しました(Sun J., et al., PNAS 2004など)。

その上で,一連の知見に基づいてヘムによる遺伝情報発現の統御機構に関するモデルを提唱しています。すなわち、赤血球系細胞では,分化前はBach1/小Mafがグロビン遺伝子エンハンサー(locus control region, LCR)に結合し、遺伝子発現を抑制する。分化進行とともにヘムが大量に合成され、ヘムがBach1を不活性化し、替わりにNF-E2(p45/小Maf)がエンハンサーに結合し、グロビン遺伝子の発現を誘導する。このヘム-Bach1経路は、ヘモグロビン合成の統合的な制御を可能とする。一般細胞では、生命に必須だが毒にもなる酸素分子の濃度をなんらかの形でヘムが感知し、ヘムがBach1を不活性化することにより抗酸化作用を有するHO-1を誘導し、酸化ストレス防御を促す、というモデルです。後者に関しては、実際に、Bach1ノックアウトマウスではHO-1が容易に高発現する状態となり、動脈硬化のような酸化ストレスが関与する病態も著しく軽減するといった知見も得ている。したがって、Bach1を中心とした転写制御の分子基盤は、造血・癌・老化などに関わる病態を理解する上でも、重要な情報源となると考えています。

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