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東北大学医学系研究科 生物化学分野

成果等

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成果等

2018年における生物化学分野の成果情報です。

2018年10月23日
鈴木一史さん優秀演題賞を受賞

第33回整形外科学会基礎学術集会にて鈴木一史さん(現・宮城県立がんセンター整形外科)が、優秀演題賞を受賞しました。本賞は「優れた研究発表を示した若手研究者に、その発展を推奨するために授与される」というものです。鈴木さん、受賞おめでとうございます!
第33回整形外科学会基礎学術集会 優秀演題賞の賞状と一緒に研究室の前で

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2018年10月23日
加藤浩貴さん奨励賞を受賞

第80回日本血液学会学術集会にて加藤浩貴さん(現・マサチューセッツ総合病院博士研究員)が奨励賞を受賞しました。本賞は「血液学に関する研究の進展と知識の普及を図るため、学問的に優れた若手研究者に対し、日本血液学会奨励賞を与え、副賞を交付する」というものです。加藤さんおめでとうございます!
第80回日本血液学会学術集会にて 左から張替、加藤、五十嵐(敬称略)

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2018年10月12日
Bach因子が赤血球系細胞の分化を促すことを示した論文を発表しました

これまで私たちの研究室では、ヘムにより抑制されるというユニークな特徴を持つ転写因子Bach1及びBach2がリンパ球系細胞とミエロイド系細胞 (顆粒球やマクロファージなど) の共通の前駆細胞でミエロイド系遺伝子を抑制することで正常なリンパ球系細胞の分化を促すことを明らかにしてきました。今回の研究ではさらに本知見を発展させ、Bach1とBach2が赤血球系細胞とミエロイド系細胞の共通の前駆細胞でミエロイド系遺伝子を抑制することで正常な赤血球系細胞の分化を促すことを明らかにしました。また、Bach1とBach2は各種感染性刺激により抑制される為、環境変化に応じた造血幹・前駆細胞の分化調節に重要な役割を果たす可能性が考えられました。さらに、代表的な造血器腫瘍の一つである骨髄異形成症候群ではBach2の発現が有意に低下している所見が認められました。本研究から、Bach1やBach2の機能低下が貧血などの血液疾患の原因の一つである可能性が示唆され、新たな治療標的になりうるものと期待されます。本研究は加藤浩貴博士が生物化学分野に在籍中に行った研究で「Nature Immunology」にて発表されました。
Bach因子による赤血球系細胞分化制御機構

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2018年3月13日
細胞分裂期におけるBACH1タンパク質の新たな機能と、その機能スイッチのメカニズムが明らかになりました

これまで私たちの研究室では、BACH1タンパク質が転写因子として、酸化ストレス応答や細胞分化に関わる遺伝子の発現を調節することを明らかにしました。本研究ではBACH1タンパク質の細胞分裂期における新たな機能として、染色体分配装置である紡錘体形成因子と相互作用し、紡錘体の方向決定に関与することを明らかにしました。また、分裂期にはBACH1タンパク質のC末端領域のいくつかのセリン・スレオニン残基がリン酸化され、このリン酸化が紡錘体方向決定に重要であることがわかりました。これらのことから、BACH1タンパク質は、細胞周期間期の転写因子としての機能に加え、分裂期には紡錘体形成因子としての機能を持ち、細胞周期依存的なリン酸化がこの二つの機能のスイッチとなっていると考えられます。
本研究は大学院博士課程に在籍した李婕博士らによる成果で、Biochemical Journal誌に発表されます。

BACH1による分裂制御1BACH1による分裂制御2

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2018年2月27日
転写因子Bach2による活性化B細胞のBCR応答性の細胞増殖の促進メカニズムを明らかにしました

血液細胞は、ヒトの全細胞(約3 x 1013個)のうち推定90%もの大部分を占め、造血幹細胞から成熟血液細胞へ分化する過程では細胞増殖が厳密に調節されます。Bリンパ球(B細胞)は、抗原で活性化されると細胞増殖を開始し、抗体を分泌する形質細胞へ分化します。その過程で、一部の活性化B細胞はクラススイッチ組換え(CSR)を実行し、抗体のアイソタイプをIgMから他のアイソタイプ(IgG, IgA, IgE)へ変換(スイッチ)します(図A)。私たちは、転写因子Bach2が形質細胞への分化を抑制することが、CSRの実行に必須であることを明らかにしてきました (2010 EMBO J., 2016 JBC)。しかしながら、活性化B細胞での細胞増殖調節におけるBach2の関与は不明でした。
Bach2ノックアウトマウス由来のB細胞には、B細胞受容体(BCR)刺激で誘導される増殖応答に障害があります。本研究で、この表現型の原因を追求した結果、Bach2がBclXLの発現を活性化に寄与し、アポトーシスを抑制すること。同時に、CDK阻害タンパク質をコードする遺伝子Cdkn1a(p21)、Cdkn2a(Arf)およびCdkn2b(p15INK4b)の転写をBach2が直接抑制することで細胞増殖を促進することを突き止めました(図B)。
本研究で明らかにしたBach2が細胞増殖を促進する役割は、従来から知られていたCSRの実行には細胞増殖が必須条件であるという機構の一端を解明したと考えています。
本研究は、三浦祐一 博士(岩手県立磐井病院)と諸岡瑞穂さん(岩手県立中央病院)が、生物化学分野に在籍中におこなった研究成果で、「The Journal of Immunology」にて発表されました。

Bach2による活性化B細胞のBCR応答性細胞増殖促進メカニズム

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2018年1月9日
ほ乳類細胞におけるSAM量調節機構の一端を明らかにした論文を発表しました

細胞内におけるメチル化反応は、ヒストン、DNAおよびRNAの修飾を介したエピゲノム制御や、脂質などの生体物質産生に関わる、きわめて重要な反応であると考えられています。これらのメチル化は多種多様なメチル基転移酵素によって触媒されますが、その反応のほとんどでメチル基の供与体として利用されるのが、S-アデノシルメチオニン(SAM)と呼ばれる物質です。細胞内SAM量が過不足なく維持されることは、細胞内メチル化反応が適正に進行するために重要であると考えられます。この研究では、哺乳類細胞でSAMを合成する酵素であるメチオニンアデノシルトランスフェラーゼ2A(MAT2A)の発現量が、細胞内SAM量に応じてフィードバック調節されるしくみを明らかにしました。
具体的には、細胞内SAMが減少したとき、MAT2AのメッセンジャーRNA(mRNA)が安定化され発現量が増加すること、このmRNA安定化には、3’ 側非翻訳領域(3’ UTR)に複数存在するヘアピン構造に生じるN6-メチルアデノシン(m6A)修飾が重要であること、さらに、このm6A修飾を行うメチル基転移酵素がMETTL16であることとともに、m6A結合タンパク質YTHDC1が関与することを示し、哺乳類細胞においてSAM量を適切に保つための機構の一つを見い出しました。本研究は当研究室島弘季博士らによる研究成果で、「Cell Reports」にて発表されました。

MAT2A mRNA量の調節を介したSAM量の調整

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