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東北大学医学系研究科 生物化学分野

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成果等

生物化学分野の成果情報です。

2018年10月12日
Bach因子が赤血球系細胞の分化を促すことを示した論文を発表しました

これまで私たちの研究室では、ヘムにより抑制されるというユニークな特徴を持つ転写因子Bach1及びBach2がリンパ球系細胞とミエロイド系細胞 (顆粒球やマクロファージなど) の共通の前駆細胞でミエロイド系遺伝子を抑制することで正常なリンパ球系細胞の分化を促すことを明らかにしてきました。今回の研究ではさらに本知見を発展させ、Bach1とBach2が赤血球系細胞とミエロイド系細胞の共通の前駆細胞でミエロイド系遺伝子を抑制することで正常な赤血球系細胞の分化を促すことを明らかにしました。また、Bach1とBach2は各種感染性刺激により抑制される為、環境変化に応じた造血幹・前駆細胞の分化調節に重要な役割を果たす可能性が考えられました。さらに、代表的な造血器腫瘍の一つである骨髄異形成症候群ではBach2の発現が有意に低下している所見が認められました。本研究から、Bach1やBach2の機能低下が貧血などの血液疾患の原因の一つである可能性が示唆され、新たな治療標的になりうるものと期待されます。本研究は加藤浩貴博士が生物化学分野に在籍中に行った研究で「Nature Immunology」にて発表されました。
Bach因子による赤血球系細胞分化制御機構

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2018年3月13日
細胞分裂期におけるBACH1タンパク質の新たな機能と、その機能スイッチのメカニズムが明らかになりました

これまで私たちの研究室では、BACH1タンパク質が転写因子として、酸化ストレス応答や細胞分化に関わる遺伝子の発現を調節することを明らかにしました。本研究ではBACH1タンパク質の細胞分裂期における新たな機能として、染色体分配装置である紡錘体形成因子と相互作用し、紡錘体の方向決定に関与することを明らかにしました。また、分裂期にはBACH1タンパク質のC末端領域のいくつかのセリン・スレオニン残基がリン酸化され、このリン酸化が紡錘体方向決定に重要であることがわかりました。これらのことから、BACH1タンパク質は、細胞周期間期の転写因子としての機能に加え、分裂期には紡錘体形成因子としての機能を持ち、細胞周期依存的なリン酸化がこの二つの機能のスイッチとなっていると考えられます。
本研究は大学院博士課程に在籍した李婕博士らによる成果で、Biochemical Journal誌に発表されます。

BACH1による分裂制御1BACH1による分裂制御2

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2018年2月27日
転写因子Bach2による活性化B細胞のBCR応答性の細胞増殖の促進メカニズムを明らかにしました

血液細胞は、ヒトの全細胞(約3 x 1013個)のうち推定90%もの大部分を占め、造血幹細胞から成熟血液細胞へ分化する過程では細胞増殖が厳密に調節されます。Bリンパ球(B細胞)は、抗原で活性化されると細胞増殖を開始し、抗体を分泌する形質細胞へ分化します。その過程で、一部の活性化B細胞はクラススイッチ組換え(CSR)を実行し、抗体のアイソタイプをIgMから他のアイソタイプ(IgG, IgA, IgE)へ変換(スイッチ)します(図A)。私たちは、転写因子Bach2が形質細胞への分化を抑制することが、CSRの実行に必須であることを明らかにしてきました (2010 EMBO J., 2016 JBC)。しかしながら、活性化B細胞での細胞増殖調節におけるBach2の関与は不明でした。
Bach2ノックアウトマウス由来のB細胞には、B細胞受容体(BCR)刺激で誘導される増殖応答に障害があります。本研究で、この表現型の原因を追求した結果、Bach2がBclXLの発現を活性化に寄与し、アポトーシスを抑制すること。同時に、CDK阻害タンパク質をコードする遺伝子Cdkn1a(p21)、Cdkn2a(Arf)およびCdkn2b(p15INK4b)の転写をBach2が直接抑制することで細胞増殖を促進することを突き止めました(図B)。
本研究で明らかにしたBach2が細胞増殖を促進する役割は、従来から知られていたCSRの実行には細胞増殖が必須条件であるという機構の一端を解明したと考えています。
本研究は、三浦祐一 博士(岩手県立磐井病院)と諸岡瑞穂さん(岩手県立中央病院)が、生物化学分野に在籍中におこなった研究成果で、「The Journal of Immunology」にて発表されました。

Bach2による活性化B細胞のBCR応答性細胞増殖促進メカニズム

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2018年1月9日
ほ乳類細胞におけるSAM量調節機構の一端を明らかにした論文を発表しました

細胞内におけるメチル化反応は、ヒストン、DNAおよびRNAの修飾を介したエピゲノム制御や、脂質などの生体物質産生に関わる、きわめて重要な反応であると考えられています。これらのメチル化は多種多様なメチル基転移酵素によって触媒されますが、その反応のほとんどでメチル基の供与体として利用されるのが、S-アデノシルメチオニン(SAM)と呼ばれる物質です。細胞内SAM量が過不足なく維持されることは、細胞内メチル化反応が適正に進行するために重要であると考えられます。この研究では、哺乳類細胞でSAMを合成する酵素であるメチオニンアデノシルトランスフェラーゼ2A(MAT2A)の発現量が、細胞内SAM量に応じてフィードバック調節されるしくみを明らかにしました。
具体的には、細胞内SAMが減少したとき、MAT2AのメッセンジャーRNA(mRNA)が安定化され発現量が増加すること、このmRNA安定化には、3’ 側非翻訳領域(3’ UTR)に複数存在するヘアピン構造に生じるN6-メチルアデノシン(m6A)修飾が重要であること、さらに、このm6A修飾を行うメチル基転移酵素がMETTL16であることとともに、m6A結合タンパク質YTHDC1が関与することを示し、哺乳類細胞においてSAM量を適切に保つための機構の一つを見い出しました。本研究は当研究室島弘季博士らによる研究成果で、「Cell Reports」にて発表されました。

MAT2A mRNA量の調節を介したSAM量の調整

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2017年9月19日
肺胞蛋白症発症機構の1つとしてのT細胞と肺胞マクロファージにおけるBach2機能の重要重要性を論文に発表しました

肺胞マクロファージは、二型肺胞上皮細胞で合成・分泌される肺胞サーファクタントを貪食・処理する機能を持ち、肺胞内の肺胞サーファクタントの量を一定に保っています。我々は以前、転写因子Bach2欠損マウスでは肺胞マクロファージの脂質代謝機能が異常になり、肺胞蛋白症を発症することを報告しました(JEM, 2013)。本研究では、Bach2遺伝子欠損マウスでは肺胞マクロファージ特異的な遺伝子発現パターンを失う一方で、脾臓赤脾髄マクロファージや腹腔マクロファージに特異的な遺伝子発現パターンを示しており、ChIP-seqの結果からBach2はIl6を含む多くの炎症関連遺伝子や、SpiCなどを含む脾臓赤脾髄マクロファージ特異的な遺伝子に結合してその発現を抑制していることを明らかにしました。また、これまでBach2は転写抑制因子であると考えられていましたが、Bach2は多くのヒストン遺伝子に結合し、それら遺伝子の発現を促進していることも明らかとなりました。
我々は、インターフェロンγなどのサイトカインが肺胞マクロファージの遺伝子発現異常をもたらすことを発見しました。Bach2はT細胞において炎症性サイトカインの発現を抑制し、一方でそれらサイトカインは肺胞マクロファージにおいてBach2の発現を誘導することが明らかとなり、これらの結果から、Bach2は、肺胞マクロファージにおいて、炎症反応に応答した機能喪失を抑えるguardianとして機能していると考えられました。さらに、抗体を用いてCD4陽性T細胞を枯渇させたところ、肺胞蛋白症が治癒することを見出し、T細胞を標的とした治療が肺胞蛋白症の新規治療となりうることを発見しました。
本研究は渋谷里紗博士(現・呼吸器内科)らによる研究成果で、「The Journal of biological chemistry」にて発表されました。

肺胞マクロファージにおけるBach2の機能

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2017年5月7日
門脈枝結紮における肝再生時の変化を多層オミクス解析によって俯瞰的に捉えた論文を発表しました

肝臓は再性能を有する臓器として知られており、肝臓の切除後に予測される残肝の肥大を促す門脈塞栓術は、術後の肝不全の予防処置として広く施行されています。肝臓切除後の肝再生に関する知見はこれまで多く報告がされていますが、門脈塞栓術後の肝再生に関する研究報告は少なく、その詳細な機序については不明でした。この研究では、門脈結紮モデルマウスの再生肝について、エピゲノム、トランスクリプトーム、プロテオームそれぞれの網羅的なデータを多層的に解析し、肝再生時に多くの遺伝子にヒストンH3K4トリメチル化修飾が加わり、転写因子Foxm1が肝再生に重要な細胞周期関連遺伝子を活性化することを見出しました。また、mRNA発現変動とタンパク質発現プロファイルを比較することで、肝再生時に転写レベルでの発現制御と、翻訳後修飾の段階での制御が働いている可能性を示唆しました。門脈塞栓後の肝再生時の網羅的な情報を解析したこの研究から、今後効率的な肝再生を可能にする治療法や因子の同定につながることが期待されます。本研究は佐藤好宏博士(2015年度博士課程修了)らによる研究成果で、「The Journal of biological chemistry」にて発表されました。

肝再生のメカニズム

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2017年3月29日
Bach2欠損マウスにおける好酸球増加メカニズムを明らかにした論文を発表しました

私たちは転写因子Bach2の欠損マウスの脾臓、骨髄、肺胞洗浄液などで好酸球が増加していることを発見しました。しかし、野生型マウスとBach2欠損マウスの骨髄細胞を共移植したマウスでは、それぞれのドナー由来の好酸球数に有意な差は認められませんでした。この結果からBach2欠損マウスで認められた好酸球増加の増加は、細胞自律的ではなく、IL-5などのサイトカインの影響によるものではないかと推測しました。そこで、我々はIL-5を分泌する主な細胞であるヘルパー2型T細胞の影響を評価するために、リンパ球を欠損するRag2欠損マウスとBach2欠損マウスを掛け合わせた2重欠損(dKO)マウスを作製し、好酸球数を確認しました。その結果、dKOマウスでは好酸球の増加は認められず、Bach2単独欠損マウスでの好酸球の増加はリンパ球依存的であることが示唆されました。近年Bach2欠損マウスのCD4陽性T細胞は、ヘルパー2型T細胞の分化が亢進し、IL-5などのサイトカインの発現が上昇していることが報告されています。実際に血清中のIL-5濃度を測定したところ、Bach2欠損マウスでは野生型マウスと比較して優位に増加していました。以上から、Bach2欠損マウスではヘルパー2型T細胞が活性化することで、IL-5の分泌が亢進し、その結果好酸球の増加が誘導されることが示されました。本研究は佐藤勇樹さん(博士課程)らが実施した研究成果に基づいており、「The Tohoku journal of experimental medicine」にて発表されました。

Bach2欠損マウスにおける好酸球増加のメカニズム

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2017年3月10日
細菌感染時の白血球分化におけるBach2とC/EBPβの働きを示した論文を発表しました

私たちの血液中を流れるマクロファージやリンパ球などの白血球は病原体に対する防御を担っており、造血幹細胞や多能性前駆細胞から分化します。これら分化前の未熟な細胞は、細菌感染に応答して細菌を貪食するマクロファージへの分化が優先的になり、獲得免疫であるリンパ球の分化が抑えられることが知られていましたが、その機構は不明でした。今回の研究では、造血幹細胞や多能性前駆細胞において互いに抑制し合う二つの転写因子Bach2とC/EBPβが、マクロファージコロニー刺激因子 (M-CSF)受容体などの遺伝子の発現を調節することによって、リンパ球とマクロファージの分化を制御していることを示しました。細菌感染時の白血球分化の仕組みの一端を明らかにしたこの発見は、感染症の重篤化や慢性炎症など様々な免疫疾患の詳細な理解につながることが期待されます。本研究は伊藤亜里博士(当ラボにて2012年度博士課程修了後2015年3月までポスドク、現東北大学加齢医学研究所遺伝子導入研究分野所属)らが実施した研究成果に基づいており、「Cell Reports」にて発表されました。

細菌感染時の転写制御

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2017年3月9日
渋谷里紗博士(2015年度博士課程修了)が七星賞最優秀賞に選ばれました

渋谷里紗博士(2015年度博士課程修了)が七星賞最優秀賞に選ばれました。東北大学は「門戸開放」の理念のもと、日本で初めて女子学生を受け入れた大学です。東北大医学部は昨年、開設百周年を迎えました。七星賞はその記念事業の一環として、優秀な女子大学院学生が自信を持ち、諦めることなく研究者キャリアの道を歩むことを奨励し、医学・医療等の分野で活躍する女性リーダー育成の一翼を担うことを目的として設置されました。次世代の女性リーダーとして、渋谷さんの今後ますますの活躍に期待します。受賞、おめでとうございました。
*ちなみに北斗七星が当医学部のロゴマークのモチーフであるところから「七星賞」と名付けられたようです。

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2017年3月1日
鉄欠乏時における赤血球でのBach1の機能に関する論文を発表しました

従来、鉄欠乏性貧血は赤血球において重要なヘモグロビンのもととなる鉄の不足により起こるものとされてきましたが、赤血球の前駆細胞(骨髄赤芽球注)自身の鉄欠乏への応答機構には不明な点が多く残っていました。本研究では、鉄欠乏性貧血は単なる材料(鉄)の不足により起こるだけではなく、鉄欠乏が赤血球成熟過程でグローバルなDNAのエピジェネテック変化及び遺伝子発現変動をもたらす事や、ヘムによって抑制性に制御されるというユニークな特徴を持つ転写因子Bach1が鉄欠乏に応答してヘモグロビン合成時のヘムとグロビンのバランスを調整することを発見しました。本研究によって、世界で最も頻度の高い疾患の一つである鉄欠乏性貧血の病態の理解がさらに進むことが期待されます。本研究は小林匡洋博士(現・血液免疫科)の大学院博士課程で実施した研究成果および加藤浩貴さん(博士課程4年)の研究成果に基づいており、「Haematologica」にて発表されました。

鉄欠乏時におけるBach1の転写制御

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